2014年06月04日(水)

 サンアゼリアフィルハーモニカ メンバー紹介
第2回 長谷見 誠 さん(フルート)

サンアゼリア フィルハーモニカメンバーの素顔にせまる第2回目は、コバケン(小林研一郎氏)&読売日本交響楽団との共演も記憶に新しいフルート奏者、長谷見誠さんの登場です。ソロ活動を中心にオーケストラまで精力的な演奏活動をしている長谷見さん。「聴けば分かる!」と皆が絶賛するサンフィルの美しい音色を、輝かしくもふくよかで芳醇なフルートの響きで支えています。そんな長谷見さんは、実は和光市でのアウトリーチ事業になくてはならないお方。8年前の開始当初からたいへんなご尽力をいただき、彼が学校を訪れればその演奏とお話で子供たちの心をわしづかみにする、和光の子どもたちのヒーローです!

演奏活動への真摯でストイックな姿勢、そして意外な趣味、豆知識まで!?色々とお話を伺いました。


子どもたちに、生きた音楽を・・・

― 昨年のサンフィル創立公演から童謡詩劇「うずら」、そして5月にサンアゼリアで行われた「和光市小中学校音楽鑑賞会」まで、全てのサンフィルの公演に携わっていらっしゃいますね。そしてサンフィル創立以前から市内ほとんど全ての小中学校でアウトリーチをなさってきたわけですが、アウトリーチの最初の立ち上げというのはどこから始まったのでしょうか?

「今のアウトリーチ事業は文化振興公社からオファーがあって一緒に始めることになったのですが、実はアウトリーチ自体はその前から市内ですでにやっていたんです。和光第二中学校の当時の校長先生が僕が小学校の頃の隣のクラスの担任の先生だったんですが、『自分が校長になったあかつきには長谷見君を呼んでコンサートを』ということを考えてくれていたんですね。」

― 子供が相手というのは、普段のコンサートと何か違いますか?

「いや、違わないと思います。今、子ども向けのコンサートは色々ありますよね。でも、そのほとんどが、コンサートをやって、おしまい。というかたちなんです。行って演奏して、帰ってきちゃう。でもそれじゃ結局何の教育にもならないと思うんです。学校訪問コンサートじゃなく、きちんとした課外教育プログラムであるっていうことが大切ですね。‘子供向けの’コンサートではなくて、‘子どものための’コンサートをやる。それを工夫しなければいけないと常に考えています。だからディズニーやジブリといったいわゆる子供達が喜びそうな曲ばかりをやっては全く意味がなくて、きちんとしたクラシック…まじめにバシッとコンサートをやって、それがきちんと音楽の授業にならなければ意味が無い。それはすごく意識していますね。」

― ただの鑑賞じゃない、と。

「そう。『音楽鑑賞会』ではないと。」



― 教育としての、子どものためのコンサートというのは、長谷見さんのコンセプトとしてはどういうものなのでしょう?

「そうですね…日本の学校の音楽の授業はどうしても、座学にとどまりがちな面があると思います。だから体験プログラムにすることはすごく大切だと思いますね。かといって全員にフルートを吹かせるわけにいかないから、フルートの仕組みを体験させるんです。ペットボトルに口つけてフー、とか音の出る原理を体験させてあげる。あとは水笛。曲がるストローの中に水を少しためて、ペットボトルと同じ要領で吹いてあげると水が震えてヒュルルル~と音が出る。時間があるときはそれも作ってやったりしています。とっても盛り上がりますよ!それから、小学校は3年生になるとリコーダーが始まるので、体験実習の一環としてリコーダーレッスンというのをよくやりますね。例えば・・・今フルートで演奏した超絶技巧をリコーダーで吹いてあげると、子どもたちにすごく喜んでもらえます。2オクターブ半位はソプラノリコーダーで出ますから。」

― 和光市内の全ての小学校では、子どもたちは4年生までにアウトリーチを平均2回体験します。そして、小学校5年生になると、サンアゼリアに出かけてきて、オーケストラの演奏を生で聴く「音楽鑑賞会」を経験するのですよね。

「そもそも鑑賞型コンサートは聴く側の母体が大きいんです。体育館で、全校生徒を対象に、とかね。でも実は僕、よそのオケでですが、オーケストラもクラス単位でやったことがあるんです。体育館で、子どもたちをきちんと楽器ごとにまとめて、ちょっとした体験があったりして。ただの鑑賞にしないためにはそのくらいしなければいけないですよね。鑑賞にするのだったらオケのホールに呼んで、インリーチにすればいいわけです。インリーチにするというのは別の意義があって、自分の足で聴きに来るということだから、普段あまり馴染みのないホールという場所を厳かに感じるということ。ただ、アウトリーチの場合は学校という当たり前の場に行く以上、特別な体験をさせてあげなければならないと考えています。演奏後に給食を一緒に食べたりして交流を持つこともありますが、それもそういった考えの延長にあります。」

― 演奏を間近で体験できるだけでなく、交流することでよりいっそう音楽家を身近に感じられますね。

「そうそう、この間歩いていたら、ちょうど小学生の下校時間に当たったんです。そしたらこの間の本町小学校の小学生56人に捕まったんですよ。わあ~!って(笑)。その日ちょうど舞台衣装みたいなスーツを着てたからですかね。第三中でもそんなことがあった。第三中の前の道をよく車で通るんですが、渋滞で停まってた時に窓の外から『あ~!』って。あと、この学校は校長先生が送り迎えに校門に出てらっしゃるんですけど、校長先生も一緒に『あ~っ!』って(笑)。一時でも、そういう特別な人って思ってくれて、心の中に残る、喜んでもらえるっていうのはすごい嬉しいことですね。」



― 長くなさっていると、やはりご苦労などもありましたか?

「そうですね・・・苦労と言うか、アウトリーチで面白かったのは、ありとあらゆる楽器とやってきたことですね。学校の先生のリクエストで編成を決めていた時期もあったんですけど、木管楽器と金管楽器の両方聴きたいっていう希望が多くありました。フルートと金管楽器とピアノ、そんな譜面はこの世にないですよ(笑)!でもせっかくだからやってみましょう、と。フルートとトロンボーンとピアノ、フルートとチューバとピアノ、などもやりましたね。フルートとマリンバとピアノもやったことあるし。本当にありとあらゆる編成でやってきて、そのために僕が曲を編曲しなおして、譜面を書いて。」

― 長谷見さんがご自分で?

「そう。だってそんな譜面ないから(笑)!昨年本町小学校でやったフルートとサックスとピアノという編成も、既製の譜面はないですね。その時演奏したウィリアム・テルの曲も僕が書きましたし。そういういろんな編成でやったというのはこちらにとってもいい経験になっているんです。いろんな楽器を体験できる新鮮さっていうのは子どもであれ大人であれ変わらないと思います。」

趣味は◯◯作り!?こだわりは音楽にとどまらず 

― 演奏活動に編曲と、お忙しくされているわけですが、体調管理などはされていますか?

「体調には気を遣います。でもそれは音楽としてより、ソロが長いので、お客さんが自分のためだけにわざわざお金を払って来てくれるという意識が強いです。舞台上に自分一人、見られているということ全てにおいて考えると、体型維持だとか、清潔感だとか・・・とにかく人間としてマイナスに見られるようなことは全て排除しなければと思っています。」

― おやつとかは。

「間食は一切しないですね。」

― ストイックですね・・・。では好きな食べ物は。

「好きな食べ物・・。餃子ですかね。自分で作るんですよ。皮から作ります。具も、ひき肉じゃなくって、お肉を叩くんです。脂身をコントロールできるので。脂身はすり潰さないようにします。溶けますから。そうすると、何にどれくらいの脂身を入れるのかをコントロールできます。皮も、先にごま油を練りこませておくと焦げ付かないし、ヘルシーです。焦げ加減が調節できるんですよ。油をバシャバシャたてると、焼けるけどいい焦げ目じゃない。あと、皮を自分で作ると、包むのがものすごく楽なんですよ。水をつけなくてもくっつきます。皮に大葉を練り込むとかね。逆に入れないのが、にんにくです。本場は入れないらしいですよ。薬味ににんにくをすったりして入れるのはあるけど、具の中ににんにくは入れないんです。入れないほうが、にんにくがダメな人にもいいじゃないですか。薬味でつける。具はキャベツを塩もみ。フル握力でグ~~っと!笑」

― 満面の笑みが出ました!もう、趣味は餃子ですね。

「焼くのもかなり練習してます。台湾風焼きも。羽を全部つけて。色々作るよりも、こんな風に、一個の料理を究極まで突き詰めちゃうんです。カレーも、スパイスから作ります。こだわっちゃうと、平気で夜中の1時からやっちゃったりするんですよね。鍋とかも市販の出汁とか絶対使わないです。自分で肉屋に行ってガラから出汁をとります。一回、豚の頭骨を鹿児島から送ってもらって、チェーンソーでバラバラにして、出汁をとったんですよ。」



― それはすごいですね。チェーンソーはどこから!?

「ホームセンターで貸してくれるんです。某人気ラーメン店の社長から教えてもらって、豚の頭骨がいいらしいよって。クリーミーな出汁がでる。」

― 感性の鋭い音楽家には美食家が多いと言われますが、こだわって突き詰めるという性格がなせる技なのでしょうね。 では、音楽とお料理以外に最近ハマっていることは何ですか。

「ハマってるというか、何かをやり続けなきゃいられないタイプなんです。」

― 音楽以外でも?

「そうなんです。だから、筋トレも、3日に1回10キロ走ってますけど、タイムをとって、走った後の体脂肪率を測ったりします。それを全部記録しているのでそのノートだけでもこんなに(分厚く)すごいことになってます。いつも違うことやってるから…というのは、毎日違うところに行って、毎日違う音楽会をしているから、逆に同じことのルーチンみたいなことが必要なのかな。」

― 毎日違う所に行って、違う曲を演奏して・・・というのとは逆のことを。

「必要なんですよね。人間のバランスなんじゃないかな。いわゆる9時~5時で土日は休みという方にとっての息抜きというものとは逆なんじゃないかと。自分の中でバランスをとってるんだと思いますね。演奏には直接関係ないけど、元気でいるということ・・・風邪ひいてフルート吹くより元気で吹いたほうがいい。演奏家で病気になって休んだりとか、今日あんまり吹けないよ、なんていうプロはいないですよね。だったら元気でいるほうが絶対いいに決まってる。そういう体づくりは大事かなと考えています。」

― 最後に、今後の演奏会への意気込みをお聞かせください。

「僕はこの町で育って、サンアゼリアで誰よりもたくさん演奏会をやってきたけれど、その中でオーケストラが生まれて、しかも、そのフルート奏者として仲間に入れてもらえた。これからたくさんのコンサートをまたここでオーケストラとして違ったかたちで、ソリスト長谷見誠じゃなく、お届けできるっていうことはすごく嬉しいことだと思います。」

― ありがとうございました。


長谷見 誠 (はせみ まこと)  プロフィール
フルートを齊藤匠、峰岸壮一、吉岡アカリの各氏に、音楽理論を三瀬和朗氏に師事。東京国際フォーラムの主催する「東京ミレナリオ」「のだめフェスティバル」「ラ・フォル・ジュルネ」、小澤征爾氏が音楽監督を務める「東京のオペラの森」等、数々の国際音楽祭への出演する他、コンサートプロデューサーとしてもあらゆるシーンで活動を重ねる。
現在、国内外でのリサイタル、レコーディング等の演奏活動を中心としながら、後進の指導やコンクールの審査員等を務める他、文部科学省の推薦・助成を受け、子供のためのコンサートを行うなど、ワークショップやアウトリーチ事業の進展の場でも活躍している。

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